日本の高級なインテリアにおいて、粗左官壁は、自然でミニマル、そして侘び寂びの精神を象徴する仕上げとして近年注目されています。素朴で静けさを感じさせるだけでなく、粗塗りの壁面は、左官のコテ跡や塗りムラ、あえて完全ではない陰影によって空間に奥行きを生み出します。こうした“不完全さの美”こそ、日本のデザイン哲学が大切にする価値観です。
本記事では、粗左官壁を用いた和テイストの内装施工における日本基準の工程、推奨される材料、そして重要な注意点について、分かりやすく解説します。
1. 粗左官壁― 侘び寂び の核となる存在

日本文化では、美しさは「完璧さ」ではなく、「自然さ」と「素朴さ」に宿ります。そのため、粗左官壁は侘び寂びやジャパンディの空間づくりに最適な選択肢となっています。
表面のわずかな不均一さ、柔らかくにじむ刷毛目、層ごとに移ろうモルタルの色味が、リアルで味わい深い質感を生み出し、一般的な塗装壁では得られない視覚的な奥行きを与えてくれます。これもまた、日本のインテリア空間をより繊細で情緒豊かなものにするアクセントとなります。
2. 日本基準の粗左官壁に適した材料
日本基準の仕上がりを実現するためには、材料の選定が非常に重要です。
■ ミネラルプラスター(鉱物系左官材)
この種の塗り材は、石灰・鉱物・粘土などの自然由来成分を含み、耐久性が高く、通気性に優れ、防湿性も高いため、ベトナムの気候にも適しています。
■ 仕上げ用の粗塗りセメントモルタル
日本式の配合に調整することで、自然な色味を保ち、青みがかった濃いグレーになりすぎないようにしています。
■ 保護トップコート
薄く透明なコーティング層により、以下の効果があります。
・汚れが付きにくい
・軽い防水性を付与する
・表面の自然な風合いをそのまま保つ
適切な材料を使用することで、美観と耐久性を確保できます。特に高級な和テイストの内装施工においては、その重要性が一層高まります。
3. 日本基準の粗左官壁の仕上げ工程

ステップ1:下地処理
- 下地の平滑調整
- ほこりやカビの除去
- 含水率の確認
これは、モルタル層の密着性を高め、施工後のひび割れを抑えるための重要な工程です。
ステップ2:接着下地(プライマー)の塗布
密着性を高めるために、鉱物系またはアクリル系の専用プライマーを使用し、粗塗りモルタルが下地にしっかりと付着するようにします。
ステップ3:素朴左官の塗り付け 粗塗り(素朴仕上げ)モルタルの施工
日本式の特徴が最も表れる工程です。
- 金ゴテまたは木ゴテでモルタルを塗り広げる
- ナチュラルコテ波仕上げで素朴な質感をつくる
- わずかなムラ感は残しつつ、雑然と見えないように整える
- 「素朴さ」を損なわないよう、手を加えすぎない
職人には和のテイストに関する経験が求められます。コテの一筋一筋が、空間全体の印象を左右するためです。
ステップ4:色味調整
モルタルが半乾きになったら、専門家が表面を軽く押さえてならす技術で色味を調整し、やわらかく均一な印象を与えながらも、手仕事ならではの風合いを残します。
ステップ5:保護コートの塗布
このコーティング層は、防汚性を高め、耐久性を向上させるとともに、侘び寂びの精神に沿った粗塗り壁の自然な風合いをそのまま保ちます。
4. 日本式らしさを損なわないための施工上の注意点
日本基準の仕上がりを実現するために、以下の点に注意`する必要があります:
- 過度に平滑にしない
壁を滑らかにしすぎると本来の侘び寂びの自然さや深みが失われてしまいます。 - 自然なコテ跡を残す
完璧ではないコテ跡こそが、粗塗りモルタル壁の美しさです。
- 装飾過多なインテリアとの組み合わせは避ける
和の空間はミニマルさを重視するため、粗塗り壁は無垢材、竹、石、そして温かみのある電球色の照明と相性が良いです。
- 日本式の施工を理解した業者に依頼する
経験・技術・繊細さが求められ、特に高級な和テイストの内装工事ではその重要性が一層高まります。
5. 粗左官壁――日本の精神を感じる空間のための選択

和の住まいにおいて、粗左官壁は単なる仕上げ材ではなく、空間の“感情”をつくる要素でもあります。
自然の素朴さを写し取り、温もりと安らぎ、そして繊細さをもたらし、ミニマルで心を落ち着ける暮らし、体験価値を大切にするライフスタイルの潮流にもよく調和します。
和テイストのインテリアデザインから高級内装施工に至るまで、粗左官壁は、日本らしさを鮮明に感じる住空間を創り上げます。軽やかで、奥行きがあり、時を経ても色あせない——そんな普遍的な魅力を備えた空間づくりに貢献します。