シックハウス症候群は、室内の空気環境と関係することがあります。より安全で快適な住環境をつくるために、住宅設計の段階から確認しておきたいポイントをご紹介します。
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シックハウス症候群とは?

「Sick House Syndrome(シックハウス症候群)」は、特定の一つの病気を指す名称ではありません。
建物の中にいるときに、頭痛やめまい、疲労感、目・鼻・喉の刺激感など、さまざまな不調が現れ、建物の外に出ると症状が軽減するような状態を表す言葉として使われています。
症状は比較的あいまいで、原因も一つとは限りません。そのため、自身の体調と住環境との関係に気づかないケースもあります。
ただし、すべての症状を自己判断で「シックハウス症候群」が原因だと考えるべきではありません。症状が長く続いたり、健康に影響を及ぼしたりする場合は、適切な医療機関に相談することが大切です。
一方、住宅設計の観点からは、室内環境に影響を与える可能性のある要素をあらかじめ確認しておくことができます。
まず確認したいのは換気システム
住宅の気密性を高めることで、室内の熱環境をコントロールしやすくなる一方、適切な換気が行われなければ、生活の中で発生するさまざまな物質が室内に蓄積する可能性があります。
人が生活すれば二酸化炭素(CO₂)が排出されます。キッチンでは調理によって煙やさまざまな副生成物が発生し、浴室では水蒸気が生じます。
さらに、洗剤や家具、内装材などから揮発性化合物が発生する場合もあります。
室内の古い空気が適切に排出され、新鮮な空気が取り込まれなければ、室内空気の質が低下する可能性があります。
そのため、住宅を建てる際には、エアコンだけを考えるのではなく、換気についても計画する必要があります。
エアコンは主に温度や湿度を調整する設備であるのに対し、換気は新鮮な空気を取り込み、室内の空気を外へ排出する役割を担います。
高湿度の状態を放置しない

高温多湿な気候では、湿度の管理も重要なポイントです。
室内の湿度が長時間高い状態にあると、カビが発生しやすい環境になります。
特に、浴室、風通しの悪い壁際、大型家具の背面、結露が発生しやすい場所などは、定期的に確認することが大切です。
よくあるのが、目に見えるカビが発生してから対処するという考え方です。
しかし、その時点ではすでに一定期間、湿気やカビの問題が続いていた可能性があります。
そのため、カビそのものだけを見るのではなく、なぜそこに湿気がたまりやすいのかという原因まで考える必要があります。
建築材料やインテリアも確認する
新築の住宅に入ったときに感じる、いわゆる「新築のにおい」を、完成したばかりの住宅特有のものとして受け止める人も多いでしょう。
しかし、そのにおいは一つの原因から生じるとは限りません。塗料、接着剤、仕上げ材、一部の家具やインテリア製品などから揮発性化合物が放散される場合もあります。
もちろん、すべての建材や家具が問題を引き起こすわけではなく、放散量も製品の種類、使用条件、時間の経過などによって異なります。
それでも住宅に使用する材料を選ぶ際には、製品元や品質基準、放散量などを確認することが重要です。
見た目や価格だけではなく、「その材料が室内環境にどのような影響を与える可能性があるか」という視点も必要になります。
寝室の空気環境を忘れない
寝室は、一日の中で人が長時間連続して過ごす場所です。そのため、寝室の空気環境は特に重要です。
窓を閉め切り、空気の入れ替えが少ない状態で、家具が多く、さらにエアコンを長時間使用していると、換気計画が適切でない場合には、室内がこもったように感じられることがあります。
「冷房を逃がしたくない」という理由から、夜間ずっと寝室を閉め切っている家庭も少なくありません。
しかし、新鮮な外気を取り込む仕組みや適切な空気交換がなければ、室内にこもった空気や湿気によって、息苦しさや閉塞感を感じることがあります。
気密性が高い家ほど、適切な換気が必要

住宅の熱環境を適切にコントロールするために気密性を高めることは、エネルギー効率の面でも重要です。
しかし、気密性を高めることは、すべてを「閉じ切る」ことを意味するわけではありません。
建物の気密性を高めることで、室内外の熱の出入りを抑えやすくなります。一方で、換気が適切に計画されていなければ、室内の汚染物質や湿気が蓄積する可能性があります。
これは、日本のインテリアや現代住宅の設計を考えるうえでも重要なポイントです。
快適な住環境は、単に室温をコントロールするだけでつくられるものではありません。住宅内の空気をどのように管理するかまで考える必要があります。
小さなサインから住環境を確認する
深刻な問題が起きるまで待つ必要はありません。
長期間続く湿ったにおい、窓ガラスに頻繁に付着する結露、壁の隅に現れるカビ、寝室がいつも空気がこもっているように感じるといった小さな変化にも注意を向けることが大切です。
掃除をしているにもかかわらず、特定の部屋にいつもにおいが残っている場合や、家の中にいるときだけ不快感が強くなる場合には、単に芳香剤や消臭剤でにおいを隠すのではなく、原因を確認する必要があります。
なぜなら、においを消すことと、においの原因を取り除くことは同じではないからです。
Naka JPでは、高品質な住宅とは、見た目が美しく便利であるだけでなく、長期間にわたって快適な室内環境を維持できる住まいだと考えています。
空間のつくり方から、使用する材料、設備や換気などの技術的な仕組みまで、一つひとつの要素を家族の実際の暮らしに合わせて考えることが重要です。
良い住まいとは、単に雨や日差しから身を守る場所ではありません。
一日の多くの時間をそこで過ごしても、住む人の身体が無理なく心地よく感じられる場所。
自分の住まいに「慣れよう」と努力しなくても、自然と快適に過ごせる環境こそが、長く暮らしたいと思える住まいにつながるのではないでしょうか。